Sunday, May 18

太晴の”マスカトーバ治療キャンプ”初体験

太晴がサン・デイエゴで開催された“マスカトバ治療キャンプ”に初めて参加出来たのは皆様の賜物と感謝しております。1月3日から12日まで行われたキャンプの様子は写真にしましたが、このキャンプに参加して、マスカトバ先生と彼女が率いる医療チームの治療を受けるのが長年の夢だったので、今回のチャンスは私達には正に望外の喜びでした。

キャンプ初日、先ずマスカトバ先生に依る太晴の全身チェックが行われました。 
最初に太晴の神経反射機能を徹底的に調べ、身体の問題点が何処に有るかを判断。 次いで、どの様な治療を集中してすべきかを彼女が指揮下の医療チームに指示しました。
この指示に従いキャンプでのプログラムとキャンプ後の家庭でのプログラムが作成されました。 (マスカトバ先生はキャンプの初めから終わりまで患者全員を絶えず観察していました)。 
彼女の働きぶりを、間近で見ると、正に奇跡的で驚き以外の何物でもありませんでした。

毎日、太晴は6人の治療師に付いて、夫々から異なった神経反射機能の治療を受けました。 その内容は、

 Reflex Re-patterning
 Oral/Facial/Visual reflex
 Archetypes
 Neuro-structural
 Tactile
 Proprioception/Cognitive
 Breathing Reflex
 

朝の9時半から夕方の4時半までの治療には両親が直接参加、キャンプ終了後の家庭でのプログラムとして、両親の手でも治療が出来る様に具体的な治療方法を徹底的して勉強しました。
毎晩、子供抜きで、親を対象とした教習が8時半まで続きました。
正にビッシリのスケジュールで、学ぶところが多く、十分に価値のあるキャンプでした。


キャンプに参加した後の太晴には明らかな変化が認められました!!

1.  先ず身体のバランスが良くなりました。 具体的には、キャンプ前と後では、右足と左足の長さが少し違ったのですが今は両足がほぼ同じになりました。


2.  彼の弱い方の手、左手の握力が強くなりました。 物を掴む時、掌ではなく指が使える様になりました。


3.  好きな歌を聞くと、それに合わせてハミングを始めます。私が傍らで歌うと真似て一緒に歌おうともします。 これには驚きました!


4.  舌を以前より増して活発に動かします。上手に喋れる様になる為には必要な動きで、これは画期的な進歩です。
5.  周囲への認知力が格段に良くなりました。 具体的には、まだ喋れませんが、人の話すことをきちんと理解を示してそれに応えます。
6.  顔の表情が以前より豊かになりました。 (写真を参照)

7. ソファーに一人で寄りかからずに上手に座れる様になりました。 身体のバランスの取り方に格段の進歩が見られます。 座りながら、身体を揺すって、ダンスさえ出来ます。


8. 物に焦点を合わせてジッと見る様になりました。 両方の瞳が以前より安定してきた様です。


ここまで太晴が進歩したのは皆様のサポートのお陰です。
今後もこの治療を続ければ、彼がどんな新しい進歩を見せて呉れるのか、楽しみになりました。
皆様のご援助を引き続き頂いて、太晴が次のキャンプにも参出来ればと願っております。






歩く練習

我々は幼児の頃から歩き出すので、歩く機能は当り前のものと考えています。 しかし、太晴は生後10ヶ月の時に怪我をしたので、自分で歩く機会が全くありませんでした。
必死に頑張り、一生懸命に練習を続け、太晴はユックリですが少しづつ“歩くこと”がどの様な動作なのかが判って来ました。

リハビリをする時、ロコマットと呼ばれるハイテク機械に縛り付けられ、彼の足に密着した器具に助けられて自分で歩くことが出来ます。ロボット技術の最近の進歩から身体障碍者も歩く経験が出来る様になりました。

太晴がトレッドミルの上を歩く時に時折見せる笑顔は我々には何物にも代えられない特別な喜びとなりました。
歩くことは太晴に“解き放たれた感覚”と“自分の体をコントロール”する快感を与えている様です。

我々は太晴が将来自分の足で歩けると信じていますーー映画の“フォレストガンプ”の主人公の様に!
その日が来たら、私達二人は心の底から声を限りに、“歩け!、歩け!、太晴!!”と叫ぶつもりです。







ニューロフィードバック(脳神経反応トレーニング)

太晴はジョン先生から神経反応トレーニングを受けています。
通常の頭脳は各パーツが共同して作動し、食べたり、歩いたり、話したり、人間の基本的な動作を筋肉に指示します。 しかし、太晴の頭脳は受けた傷の為、パーツ間の協調が無くなりバラバラの状態となったので、その調律が必要となっています。
神経反応トレーニングでは、脳波を計測して、超音波で脳を刺激することで脳自体を自動調整させます。 (これはメトロノームを使ってピアノを調律するのと同じです)。

ジョン先生が最初に太晴を診断した時、彼の脳は完全に混乱しており引き付け(癲癇)を起こす可能性が大である、と判断しました。 六年にわたり治療を受けた結果、太晴の脳はかなり組織として働く様になり、引き付け(癲癇)を起こす心配は完全に無くなりました!


それに加えて、太晴の認知力も相当程度に改善が認められます。




Tuesday, May 6

バランス感覚を学ぶこと

太晴の身体にバランスと距離感を覚えさせる重要なトレーニングで、これが身体を動かしバランス感覚を持つことに繋がります。 赤ちゃんは普通これを母親の胎内で自然に覚えます。

太晴をブランコに載せてゆっくりと前後に揺らすと彼は喜びます。恐らく、この動きは彼には快く気分が落ち着くものだと思います。

知り合いの業者さんに頼んで我が家の天井に横梁を付けそこにフックを固定しました。伸縮性のある生地を買って来て、両端を結んでそれにロープを通してフックに引っ掛け、大きな包帯の様なブランコを作りました。
これは実に上手く、格好良く、出来上がりました。
是非、太晴専用“ジム”を見に来て下さい!!

ようこそ太晴のジムへ
妹の花菜と
太晴のお気に入りの看護婦さん

ドクターフライマンについて

太晴が事故後、開頭手術を受けて退院した折は、我々は憔悴しきって何をしたら良いのか途方に暮れました。
太晴は夜昼となく泣き続けて手の施しようが有りませんでした。
恐らく太晴は激しい頭痛に苛まれると同時に病院で投薬された薬の後遺症から抜け切れなかったのだと思います。彼自身も眠れずに疲れ果てて消耗したのでしょう。
色々と調べた結果、フライマン先生と言う著名な頭蓋専門の整骨医を見付けました。 彼女の治療院は、偶然にも、我々が住むサンデイエゴに在ったので早速訪問しました。
最初に彼女を訪ねた時は我々はそれこそ藁にも縋る思いで何をしたら良いのか全く判らない状態でした。 病院では手術が終わった後は、何をすべきかを全く教えて呉れませんでした。
太晴は大丈夫でしょうか?とフライマン先生に聞きました。お二人は太晴を信用することです!彼にはチャンスを与えれば、今持っている物を最大限に発達させ、驚くような反応を彼は見せる筈です と応えて下さいました。
この言葉を聞いて、初めて希望が湧き、私達二人で泣き続けました。
フライマン先生は小柄でかなりの老齢(恐らく90歳を超えてるでしょう)、英国出身の女性です。 彼女は太晴を診察台の上で一回転させてから、ゆっくりと背骨を触り、手を頭に被せて擦り始めました。 そして、太晴が激しく泣くのは怪我からの痛みが原因と説明して呉れました。


僅か二回の治療で、太晴は泣かなくなり、夜も一度寝付くと朝まで起きなくなりました。フライマン先生の処には世界中から頭脳に関わる病気を抱えた子供を持つ両親が訪ねて来ていました。 彼女の治療は正に神業で、或る子供は数回の治療だけで常習化していたけ引き付け(癲癇)を起こさなくなりました。 彼女は悩める患者には真の治療師でした。 
多くの障害児が回復に向かって進みだす最初の第一歩を見付けてくれました。 彼女は他の医師が現代医学で諦めた子供達を助けることに強い使命感を持っていました。

今はフライマン先生は引退され治療はされていませんが、我々の息子を助けて下さったことには感謝の言葉が見つかりません。彼女の余生が満ち足りたものであることを心から願うばかりです。